2020年11月30日月曜日

図書館で読んだ本3。

 三中, 信宏., 2018. 系統体系学の世界 生物学の哲学とたどった道のり.勁草書房,堀内印刷所・松岳社:pp.i-xii+431+i-lxvi.

この本、とても面白かった。

 “ Yoon [訳:三中 & 野中] (2013) 自然を名づける”の引用が多い。三中(2018)を読む前に、Yoon [訳:三中 & 野中](2013)を読んでいることが前提で作られている。

 三中(2018)の本は、第2章から第4章へとページをスキップをしながら読むことのできる本では無い。きちんと第1章から第2章へと順序ごとに読み進める必要がある。Yoon [訳,三中 & 野中](2013)を読み、分類学と数量分類学,分岐学の対立の全体の大まかな歴史を知っている方が、三中(2018)の本を読みやすくなる。

エピローグは著者の生い立ちと、どこで分岐学と出会ったのかを紹介している。

(“エピローグ”は読まず、第一章へスキップして読み始めても良い。)

第一章は分類学について説明をしているが、近代の分類学、特に Dr. Mayr についての説明と歴史は著者の別の本に書かれているため、多くのことは説明していない。

第1章の後半からは、分岐学がどのような歴史を辿ってきたのかを早々に書いている。

 そこからは、分岐学と数量分類学の歴史が詳しく書かれている。

とても読み応えがある。予備知識が無いと難しく、この本だけでは分からないことも多い。

だが、この本は分岐学と数量分類学の歴史を紐解き、何が重要なのかの理屈の要点を押さえた概説。論文と教科書を紹介している。

 普段は仕切られている学問分野ごとを全体の相互関係を知ることで、頭の中でごちゃごちゃになっていた相互の学問の理屈を整理ができるアマチュア向けの素晴らしい本である。

第5章からは科学哲学について。

この第5章もかなり面白い。生物学者達がどれほど、物理学,化学からの客観性と反証性という言葉に苦しめられてきたかを知ることができる。生物学者が科学哲学,論理学,統計学 について学んできたか歴史の変遷が分かる。近代の科学哲学の歴史を知るための文献を紹介している。

最後にこの本は、 “曼荼羅”というキャッチフレーズで紹介されている。

私は曼荼羅という言葉が本の内容とそぐわないのではと思っている。著者の口癖なのだろうか?


 三中, 信宏., 2018. 系統体系学の世界 生物学の哲学とたどった道のり.勁草書房,堀内印刷所・松岳社:pp.i-xii+431+i-lxvi. (in Japanese)

Yoon, Kaesuk. Carol,. 訳者, 三中 信宏., 野中 香方., 2013. 自然を名づける-なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか. NTT出版株式会社.中央精版印刷株式会社.pp.393.